AGARAKiiLifeみかんKiiSearch

「大川小学校の悲劇」

 東日本大震災の津波で亡くなった児童の遺族が宮城県と石巻市を相手に計23億円の損害賠償を求めた訴訟の判決要旨を読んで、不覚にも涙が出た。

 ▼高さ10メートルの津波が来るというラジオの放送を聞いていながらなぜ、教員たちは児童を海の方に誘導したのか。どうして、すぐに学校の裏山に避難させなかったのか。その判断の誤りが悔やまれてならない。

 ▼仙台地裁の判決は「教員は津波の襲来を予見できた。不適切な場所に児童を避難させた過失がある」と認定。訴訟を起こした23人の遺族に総額約14億3千万円を支払うよう県と市に命じた。

 ▼この津波では児童74人と教職員10人が死亡・行方不明になった。だが、学校のすぐ裏には山がある。歩いて2分、小走りで1分ほど。避難時に多少の混乱はあっても、ともかく避難できる。判決も「教員は、短時間に比較的容易に上ることが可能な裏山に向けて児童を避難させる義務を負っていた」としている。

 ▼その判断がどうしてできなかったのか。石巻市の防災計画では津波の高さを最高5・1メートルと想定し、大川小学校は津波避難対象地区外だった。だから学校では、津波で被災することや即座に逃げることを想定していなかったのだろう。

 ▼けれども、10メートルと聞いた瞬間、事態は想定を超える。マニュアル通りでは命が危ない。そういう感覚がなぜ働かなかったのか。

 ▼明日はわが身。紀南の地でも、この悲劇から学ぶべきことは山ほどある。(石)


更新)