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「米大統領選」

 アメリカ大統領選挙の結果が、9日午後には判明する。長年国際報道に携わってきた私にとって、今度の選挙ほど愚かしく、米国流民主主義なるものの限界を感じさせられたものはない。

 ▼歴代米大統領選は日本では常に関心を呼んだ。安全保障、経済などすべての面で国運に直接関わり、株価にも直結するからだ。しかし今回は、トランプという異質な候補者が「あれよあれよ」という間に共和党代表に選ばれ、当の米国人ばかりか世界中を仰天させた。

 ▼同氏の主張は「米国に不法移民を送り込むメキシコ、テロを企てるイスラム教徒、軍事的脅威の中国、応分の防衛費分担をしない日本、韓国などをこれ以上甘やかしてはならない。そのためには、メキシコ国境にメキシコの負担で長大な壁を築き、日本や韓国には核武装も認めるべきだ」などという論法。この単純な主張に支持者は喝采した。

 ▼米国は貧富の差が大きい。一方で非白人、女性、身体障害者、移民などの権利拡張運動では世界をリードしてきた。その陰で相対的に不利を被っていると考える中流以下の白人労働者が、トランプ支持層の基盤になった。

 ▼何でも競争が基本というのが米国流。ルールの中で戦えば勝った者が正しく、調和など問題外だ。これが逆目に出て1年以上全米を巻き込んだ選挙戦で、こんな怪物を生んだ。

 ▼知人の米国人は、いずれが勝つにしろ、選挙後に残る国内の亀裂を心配している。 (倫)



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