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「二つの巡礼道」

 熊野古道を歩いた知人が「バスや宿は外国人でにぎわい、英語が標準語になっていた。まるで日本ではないようだった」と驚いていた。彼は昨年、スペインの世界遺産「サンティアゴ巡礼道」の615キロを歩き、熊野古道と巡礼道を踏破した「二つの道の巡礼者」に認定された旅の達人である。

 ▼はるかかなたのその巡礼道を一度歩いてみたくなるようなガイドブック「スペイン・サンティアゴ巡礼の道」(実業之日本社)が出版された。著者は熊野にもたびたび訪れている紀行作家の高森玲子さん。プランの立て方、宿泊先の選び方、装備といった実用的な情報はもちろん、美しい景色や街並みの写真、そして何よりも旅の楽しみであるグルメ情報がふんだんに盛り込まれている。

 ▼千数百年前、遠く離れたスペインと日本に時を同じくして巡礼の道が開かれた。いずれも聖地を目指す数百キロの道のり。サンティアゴ巡礼道の目的地は聖ヤコブが祭られた大聖堂、熊野古道は熊野三山である。

 ▼高森さんはその共通点について「信不信を問わず世界中からの巡礼者を受け入れるということに尽きます」と話す。「途中にピレネー越えなど険しい峠もあるサンティアゴ巡礼道ですが、みんな笑顔でわいわい盛り上がりながら歩いています」ともいう。

 ▼それにしても、なぜ二つの巡礼道は国や人種、宗教を問わず多くの人を引き付けるのだろうか。その答えを探すように本を読み進めた。(長)



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