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「米国第一主義」

 アメリカで生まれた野球がなぜ、当時、捕鯨の基地だったボストンとその近郊から発展したのかという疑問に、作家、佐山和夫さんはその著「野球とクジラ」で次のように答えている。

 ▼野球はファーストに出塁し、セカンド、サードを回って初めてホームにたどり着く。そこでようやく1点だ。一塁に出てもホームに到達しなければ意味がない。このルールがたとえクジラを捕っても、母港に帰り着かなければ成功とはいえないと考えるアメリカ人の共感を呼んだ…。

 ▼アメリカの新しい大統領になったトランプ氏が就任演説で「イッツ ゴーイング ツービー オンリー アメリカ ファースト」と力強く宣言した。日本語に訳せば「この日からアメリカ第一だけになる」という意味である。

 ▼この基本姿勢に基づいて「貿易、税金、移民、外交のすべての決定は、アメリカ国民の利益に」と主張。環太平洋連携協定(TPP)からの離脱を表明、外交でもアメリカの国益と安全保障を最優先すると踏み込んだ。

 ▼「アメリカ第一」を強調する演説をテレビで聞き、新聞でその全文を読んで、果たしてそれでことが進むのかと考えた。国益優先で地球人の共存という視点を欠いた「アメリカ第一主義」では、しょせん一塁に出るだけではないか。

 ▼捕鯨も野球も本塁に到達しないと意味がない。そうした考えを大切にしてきた先人たちの知恵にもっと敬意を、と考えるのは僕だけだろうか。 (石)



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