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「春一番」

 毎朝車に乗り込むとカーナビから「今日は何の日」のアナウンスが流れてくる。なるほどと思う記念日もあれば、語呂合わせだけの記念日もある。その中で「春一番名付けの日」という不思議な記念日が気になった。2月15日である。

 ▼春一番は、2月の立春から3月の春分までの間に吹く強い南風。気象用語では、日本海で低気圧が発達し、そこに南から毎秒8メートル以上の風が吹き込み気温が上がる現象という。

 ▼その発祥の地は長崎県壱岐市だそうだ。江戸時代の安政6(1859)年2月13日、同市郷ノ浦の漁師が五島沖で突風に遭い53人が亡くなった。壱岐では、春先に吹く暴風を「春一」「春一番」と呼んで恐れていたのに事故は起きた。

 ▼100年後の1950年代に壱岐を調査した民俗学者宮本常一がその言葉を収集し、俳句の季語として紹介してから広く使われるようになったという。郷ノ浦には慰霊碑とともに、事故の教訓を伝える「春一番の塔」が建立されている。

 ▼「名付けの日」の由来は、63年2月15日付の朝日新聞に初めて春一番という言葉が載ったからだという。しかし、誰がいつどのような意図で「名付けの日」と定めたのかは分からなかった。壱岐市教育委員会や観光連盟も心当たりがないという。

 ▼紀南地方に雪を降らせた寒波が去り、梅の花が一気に開いた。週末からは、観梅シーズン本番である。花をたっぷりめでるまで、当地の春一番は吹かないでほしい。 (長)



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