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「ミッフィーちゃん」

 うさこちゃん、あるいはミッフィーちゃんの生みの親であるオランダの絵本作家、ディック・ブルーナさんが亡くなった。89歳。老衰だったと伝えられる。

 ▼日本では1964年に第1作の「ちいさなうさこちゃん」が石井桃子さんの訳で出版され、爆発的な人気になった。力強い線とシンプルな色合いに特徴のあるイラストは、時代を超えて数多くの子どもたちに支持された。

 ▼東日本大震災の際には「震災や原発事故におびえ、悲しい思いをしている子どもたちに、あなたのイラストで希望を与えて」という朝日新聞社記者からの呼び掛けに応え、大粒の涙を流しているイラストを描いて子どもたちを慰めた。

 ▼彼の描くミッフィーちゃんは、いつもまっすぐ正面を向いている。それは作者が常に読み手である子どもたちに向き合っていることの象徴であり、この世の喜びや悲しみから目を背けないという意志の表れといわれている。

 ▼その訃報に接して、さて私たちはこの世の喜怒哀楽に正面から向き合えているか、という問いを突き付けられた気がする。未曽有の原発事故が起きて6年。その後始末さえできないのに、それと向き合わず、原発頼みの政策を改めない政治。目先の利益に振り回されるばかりで、都合の悪いことはすべて次世代へ先送りする社会。

 ▼ミッフィーちゃんの視線は、苦くて苦しい現実を認める勇気を持たない私たちに、未来への責任を問い続けている気がする。(石)



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