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「安心、安全な町」

 数日前の夜、田辺市の住宅街を散歩していたら、高齢の女性から声を掛けられた。聞くと、道に迷って自宅に帰れなくなったという。

 ▼なるほど、街灯はなく、住宅の明かりも漏れてこない。僕ら以外に人影はない。力になれればと思って足を止め、話を聞いた。

 ▼「近所の店に買い物に行くつもりだったが、道が分からなくなった」「90歳にもなって、夜、出歩いたのが悪かった」。よほど動転しているのだろう。断片的な言葉は次々と出てくるが、肝心の自宅の情報は、何度聞いても要領を得ない。

 ▼とにかく落ち着いてもらおうと手を握り「家まで送ってあげるよ。心配せんでいいで」と声を掛け続ける。ようやく番地を聞き出し、友人が近くにある住居表示板まで走って目的地を確認してやっと送り先の見当がついた。

 ▼散歩時の安全用に手にしていた懐中電灯の明かりを頼りにたどり着いた家は、最初に声を掛けられた場所から400メートルほど。昼間なら何の問題もなく買い物をして帰れたはずの距離だったが、夜間は景色が違う。

 ▼しかし、近くに正確な町内の住居表示板が設置されていたおかげで、問題は解決した。このときほど、その存在がありがたいと思ったことはない。これで街灯がもう少し整備されていれば、お年寄りも安心して出歩けるのにと思った。

 ▼高齢者が安心して暮らせるまちは、子どもにとっても安全だ。そういうまちづくりに、もっと力を入れてもらいたい。 (石)



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