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「一足早い春」

 「暑さ寒さも彼岸まで」といわれる。大阪やその周辺では「お水取りが終わると春が来る」ともいう。ともに、春を切望する人々の気持ちがよく表れている。

 ▼しかし紀南では、春の訪れはもう少し早い。先週あたりから、一気に春らしくなってきた。週末に訪れた田辺市立図書館近くの民家の庭先では、早くも白いモクレンが咲き、市立美術館の庭では、黄色いサンシュユがつぼみを膨らませていた。出勤途上にある庭では、ツバキが毎朝、新しい花を咲かせている。

 ▼草花も負けてはいない。早咲きのスイセンは盛りを過ぎたが、美術館の裏庭では、遅咲きの品種がいまを盛りと咲いている。公園の山裾を訪ねれば、バイカオウレンの白い花が咲いているし、紫のシハイスミレも、花の数を増やしている。ソメイヨシノが咲くのも、そんなに遠くはなかろう。

 ▼つい1カ月前まで、大雪が降ったとか気温が氷点下になったとかいっていたのがうそのような陽気である。紀南の春は、大阪あたりより、1週間から10日ほど早い。すごく得をした気分になる。

 ▼季節の移ろいを感じられるのも、春風に誘われてあちこち散策したからだろう。その昔、たばこの煙が充満した部屋で、原稿用紙を前に難渋していたとき、先輩から「たまには外の空気を吸ってこい」と言われたことを思い出す。

 ▼なるほど。戸外に出て春の光を浴びると、多少は頭も働く気がする。これもお天道さまの効能だろう。 (石)



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