AGARAKiiLifeみかんKiiSearch

「友人の訃報」

 高校時代のアルバムに、彼と並んだ2枚の写真がある。1枚は部活の同級生5人が学園創設者の銅像の前に並んだ写真。全員、白いワイシャツに学生帽。夏の日差しを浴びてどの顔も輝いている。

 ▼もう1枚は、彼が文化祭の演劇で主役を務めた後、舞台衣装のままで僕と並んだ写真。僕らは新聞部で活動していたが、彼はその年、部員不足の演劇部に頼まれて舞台に上がったのである。映画が好きでいつも赤木圭一郎の物まねをしていたぐらいだから、演劇にも興味があったのだろう。

 ▼新聞部では僕が部長、彼が会計部長。互いに協力して年に5回、学校新聞を発行していた。3年生の時、厳しい校則に反発して生徒会が授業をボイコットして全校集会を開いた時には、彼がまず演壇に上がって「生徒の自主性を尊重せよ」と演説、僕がそれに続いた。

 ▼そんな友人の訃報が先週末、郷里の同級生から届いた。急いでインターネットを開くと、その記事が流れていた。彼の名は渡瀬恒彦、72歳。俳優として映画やテレビドラマでの活躍ぶりは、読者のみなさんの方が詳しいだろう。大学卒業後は疎遠になっていたが、数年前に会った時には「新聞記者として初心を貫いているのがエライ」と褒めてくれた。

 ▼長寿社会とはいえ、70歳を過ぎると何があるか分からない。先の写真に写っていた5人のうち、3人が鬼籍に入った。残された僕は、残された日々を悔いなく生きたいと願っている。 (石)



更新)