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「ネットと甲骨文字」

 出口汪さんが監修した「本当は怖い漢字の本」(水王舎)には、恐ろしい起源を持っている漢字が150種ほど収録されている。汚れのないという意味を持つ白は、頭蓋骨をかたどった甲骨文字が始まりで、骨の白さから現在の意味になり、道は、切り落とした他人の首を持って歩く人の姿を表しているという。怖い話である。

 ▼ネット時代になって、文字や記号によるコミュニケーションが格段に増えた。SNSのメッセージで意思や感情を伝える「スタンプ」は、さしずめ現代の甲骨文字だろうか。「了解しました」という返信を平仮名の「り」だけにするという極端な短縮表現もある。

 ▼言葉を省略したコミュニケーションは各地の方言にも生かされている。時代が移っても、人間の発想はそんなに変わらないということだろう。例えば秋田弁では「け」の一言で「食べろ」「来い」「かゆい」の三つを表現できるという。

 ▼しかしそれは、場の状況、相手の表情、言葉の抑揚、前後のやりとりなどがあって初めて正確なコミュニケーションとして機能する。ネット上のやりとりは文字や記号だけで行われるため、行き違いや誤解、感情的な対立が起きやすく、意図せずに相手を傷つけてしまったということも頻繁に起きてくる。

 ▼そんな時代だからこそ、言葉の持つ意味や文章の書き方、表現方法をあらためて学びたい。ネットにも対応した国語教育を考えていく必要がある。(長)


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