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「花見の作法」

 今年は桜の開花が遅れている。3月も終わりというのに、田辺市とその周辺部の桜の名所はどこも、つぼみが膨らみかけたばかり。ヤマザクラは盛りを過ぎ、オオシマザクラも花をつけているのに、花見の主役を務めるソメイヨシノは開花していない。

 ▼気象情報サービス会社の予報では、和歌山の開花は3月30日。だが、毎日のように眺めている散歩コースの桜もいまだに「つぼみ膨らむ」程度である。この週末には咲き始めるのだろうか。待ち遠しい。

 ▼この季節になると思い出すのが佐野藤右衛門さん。京都・嵯峨野の広沢池近くで代々続く植木屋の16代目。日本中の桜を見て歩き、桜の世話を続けている「桜守」である。二十年ほど前、初めて取材したときの言葉が記憶に残っている。

 ▼「桜の木の下を歩いていると、花がなびいてくる。花の下で寝ころんでいると、人恋しいと語り掛けてくる。機嫌がいいとか悪いとか、そんな花の独り言も聞こえてくる」という話である。

 ▼花見の作法についても聞いた。「どこの桜でもよい。気に入った木を自分の桜と決めて通えばよい」「咲いていなければ満開になった時を想像する。散っていたら来年に期待する。弱っていたら自分の健康に思いを巡らせる」。これを守れば、桜が一層いとおしくなるという。

 ▼遅れていた桜も、4月になれば咲くだろう。それを楽しみに、この週末は桜を訪ねてみたい。雨が降っても気にすることはない。(石)



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