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「熊野古道の森」

 田辺市が「熊野古道の森を守り育む未来基金」を設立するという。ふるさと納税の寄付金の一部を充て、新たな募金も呼び掛けるそうだ。

 ▼この件については、個人的に強い思い入れがある。始まりは1998年。合併前の本宮町が約1億円をかけて古道沿いの人工林約36ヘクタールを購入し「よみがえりの森」として整備していることを、朝日新聞の論説委員だった僕が社説で紹介したのがきっかけだった。

 ▼当時の中山喜弘町長から聞いた「この道はいつか世界遺産になるときが来る。そのときになって、周辺景観が損なわれているようでは申し訳ない。町の財政は厳しいが、100年後の子孫への投資として予算を付けました」という言葉が胸に響いた。

 ▼2008年から始まった「ふるさと納税」で、市が「熊野古道の保全」を目的の第一に掲げたことも記憶に新しい。その趣旨に賛同して即座に少しばかりの寄付をし、以降、毎年それを続けてきた。しかし、寄付金の使途は観光PRや一過性のイベントが中心。景観保全が後回しにされているのが不満で、近年は寄付の目的を図書館の蔵書購入や新庄総合公園の整備に変えていた。

 ▼そういう因縁のある話である。遅きに失したとはいえ観光政策が優先し、景観保全が後回しになっていた事態を改善しようというのだろう。ならばもう一度、応援したい。

 ▼まずは本年度、寄付の宛先に加えよう。そう考える人が続出することを期待している。(石)



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