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「まちの文化度」

 梅雨の晴れ間を縫って、早朝から田辺市の新庄総合公園に出掛け、仕事前の散策を楽しんだ。

 ▼美術館の近くには、ムクゲの白い花が咲いている。夏の間、毎朝のように新しい花を咲かせ続ける元気者である。近くの生け垣には、ハマボウの黄色い花。少し離れた内の浦の干潟親水公園や白浜町の富田川河口付近にも自生地があり、ともに見応えがある。

 ▼梅雨時を彩った色とりどりのアジサイや味わい深い朱色のノウゼンカズラは盛りを過ぎ、白と黄色、この二つの花が目立つようになれば、夏も本番だ。

 ▼周囲に目をやれば、黒いアゲハチョウが花に戯れている。蝉(せみ)時雨という言葉通り、うるさいほどに蝉の声が降ってくる。秋に紅葉する広葉樹が深い緑の葉を繁茂させている。

 ▼人間が暑い暑いと嘆く夏場は、蝉や植物にとっては一番勢いのある季節である。こうした木や花が散歩する人たちに潤いを与え、情操を育ててくれる。人間の住むところ、都市公園が欠かせない由縁でもある。

 ▼しかしながら昨今、田辺市では次々と街路樹が切り倒されている。通行の障害になる、歩道拡幅工事のため、落ち葉の処理に困るなど、伐採の理由はさまざまだが、まちに潤いを与えてくれる街路樹に対する敬意が欠けているのではないか。

 ▼緑の木陰、花の道。人々に憩いの場を提供し、情操を育む樹木や花に、もっと関心を持ってほしい。それはまちの文化度を測る物差しでもある。 (石)



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