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「夢を語る」

 この社会には、さまざまな人がいる。黙って人のために尽くす人、弁は立つが行動しない人、そもそも何も考えていない人。会うたびに愚痴をこぼす人もいるし、人の悪口を言い始めると元気になる人もいる。

 ▼日々、そういう人たちと出会い、会話を交わし、ではまた、と別れるのも記者の仕事である。消耗することも多いが、好奇心の強い人間にとっては、それが楽しみでもある。

 ▼時には、今日はいい人に出会えた、雲を突き抜けたら快晴の空が広がっていたと思えるようなこともある。先日お会いして話し込んだ田辺市の野田忠さんもそんな一人。産直市場「よってって」20店舗を運営する「プラス」の会長であり、一般財団法人「プラス農業育成財団」の理事長でもある。

 ▼その日の話題は、日本を支える農業の後継者問題。野田さんはいま、この問題に一石を投じようと、私財を投じて若い就農者に支援金を提供する計画を進めている。しかし、農業を継ぐ人は極端に少ない。県の調べでは、新規学卒者で就農した人は2016年度、県内全体で13人だった。

 ▼そこで新たな作戦を考えた、と話が続く。支援金の支給にとどまらず、後継者に恵まれない高齢者と農業に意欲を持つ人の仲介役を財団が務めよう、技術指導もお願いし、成功事例を積み上げて就業者を増やしたい、と。

 ▼81歳とは思えない熱い口調で話が続く。夢を語れる人との会話は、いつもながら心地よい。 (石)



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