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「クルージング」

 8日間の船旅をした。寄港先はロシアのウラジオストック。そこでバレエを鑑賞するのが目的だったが、日本もクルーズ時代に入ったことを実感した。

 ▼乗客は高齢者が圧倒的に多い。意外だったのは身体障害者が多く、単独で参加した人も結構いた。食事、宿泊、移動、各種の娯楽が手軽に体験できるのだから、障害があっても快適に過ごせるのだろう。

 ▼いま世界で激しい競争を展開している豪華観光船は約400隻。このうち日本船はわずか3隻。だから、外国船を利用する日本人も多いが、高齢になると、言語、習慣、食事などでやはり日本船が落ち着く。今度の船は関西が本拠だったから、食事も関西風の薄味で奥深かった。

 ▼客とスタッフがほぼ同数。船内の催しも、講談からカクテルの作り方まで多種多様。評論家の堺屋太一氏はかつて、のんびりデッキで昼寝などを楽しむ欧米人に比べ、日本人は「息せき切って催しを次々駆け巡る。戦後の高度成長期に身に付いた悲しい習性」と評した。今回も乗客の切ないまでのひたむきさが目立った。

 ▼ロシアは軍事大国と優雅な芸術先進国という二面性を持つ。軍港でもあるウラジオは、北方領土にもにらみを利かす。一方、イタリアが発祥のバレエはフランスで磨かれ、ロシアで完成しただけに見事だった。

 ▼港には豪華ヨット、郊外には別荘が並び、一方で物乞いもいる。かつての共産大国もいまは貧富の差が歴然で複雑だ。 (倫)



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