AGARAKiiLifeみかんKiiSearch

「寛容の精神はどこに」

 先日、阪急電車に乗ったら、車内で男性2人が口論していた。片方は70歳前後に見えるお年寄り、もう一方は20歳前後の若者である。

 ▼優先座席に座っている若者にお年寄りが注意したのが発端らしい。お年寄りは居丈高に声を荒らげ、若者は「そんな言い方はないやろ」と怒鳴り返している。幸い電車がすぐに次の駅に着いたので収まったが、周囲は凍りついていた。

 ▼田辺市でも先日、車の走行トラブルで相手の車を高速道路に止めさせ、運転していた人を殴りつけた奈良県内の男性が田辺署に傷害容疑で逮捕された。3カ月ほど前には、田辺バイパスで車の運転を巡って運転手同士がもめているのを目撃したこともある。

 ▼9日付朝日新聞は、もっと悲惨な例を報じていた。6月に神奈川県の東名高速で一家4人が乗ったワゴン車が大型トラックに追突され、夫婦が死亡した事故で、ワゴン車の運転手はその直前に別の車から走行を妨害され、無理に停止させられた時に追突されたという。

 ▼これらの事案が物語るように、昨今は自分さえよければ、と振る舞う人の姿が目につく。人々が寛容の精神を失ったのか、それともこの社会が寛容とか受容という言葉から遠く離れてしまったのか。それは、社会にはびこる成果主義や利益最優先主義と関係があるのだろうか。

 ▼その昔、直属の上司がことあるごとに「人情紙の如し。イヤな世の中だな」と嘆いていたことが思い出される。 (石)



更新)