AGARAKiiLifeみかんKiiSearch

「昭和の街並み」

 新宮市三輪崎は捕鯨のまちとして栄え、伝統の鯨踊は日本遺産に認定されている。その中心部を通る熊野古道沿いに昭和の面影を残す街並みがある。

 ▼ひときわ目を引くのは、90年前に建てられたという三輪崎青年会館。木造の大きな建物の正面には、若者の未来を象徴するような朝日のマークがあしらわれている。新宮市指定文化財の嵩家住宅は、住宅兼診療所として使用されてきた本瓦ぶき、切り妻屋根の家屋。江戸時代後期の建築という。この他にも、木造の酒店や旅館など趣のある建物が並ぶ。

 ▼県内の伝統的な街並みを代表するのは、しょうゆ醸造発祥の地、湯浅町。江戸時代末期に創業した角長は当時からの蔵で醸造を続けている。御坊市は、名前の由来になった本願寺日高別院の周囲に寺内町の風情が残る。そういった場所に昭和世代はつい郷愁を覚える。

 ▼一方、情緒あふれる街並みは寂れた街並みと紙一重だ。三輪崎で出会った年配の女性は「今は通りから人影が消えて寂しい」と話した。嵩家住宅も傷みが進んでおり、保全に苦労している様子がうかがえる。

 ▼田辺でも市街地の過疎化が進み、城下町の面影を残す屋敷町から古い家屋が次々に姿を消している。保全をいうのは簡単だが、維持・修繕は現実には難しい。

 ▼外国人観光客を受け入れるため、古民家をゲストハウスや飲食店に利用する動きも進んでいる。郷愁に浸るだけでなく知恵を出し合いたい。 (長)



更新)