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「過疎地の願い」

 先日、森林ボランティアの集まりで、知人から聞いた話が頭から離れない。次のような内容である。

 ▼知人は先日来、84歳の義母を三重県南部の郷里から大阪に引き取り、同居している。義母は健康で一人住まいにも不自由はなかったが、ただ一つ困ったことがあったそうだ。

 ▼近所の人たちが高齢になって、病院や買い物に行くのに彼女が頼りにされる。当初は気軽に引き受けていたが、年齢を重ねるにつれて、ハンドルを握るのが怖くなった。お年寄りを乗せている時に事故を起こしたら大変だと考えた末、子ども夫婦の元に身を寄せることにしたという。

 ▼これが過疎地の実情であろう。若い人は次々に出て行き、小中学校も統合される。バスの便はなくなり、病院や郵便局に行くのにも一苦労だ。いまは近所同士が助け合ってしのいでいるが、それにも限度がある。けれども人口の減っている地区の声は市や町にはなかなか届かない。

 ▼そんな構図に一石を投じる記事が朝日新聞に掲載されていた。過疎地を走る移動スーパーが切手の販売や郵便物の差し出し代行などを担う移動郵便局の実証実験が徳島県で始まる。現金の出し入れもできるように軽トラックに搭載できるATMの開発も進めているという話だ。

 ▼過疎化が進む紀南の自治体でも、参考にできるのではないか。県や市、農協などが協力して知恵を絞ってほしい。過疎地に手を差し伸べることも行政の役割である。 (石)



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