AGARAKiiLifeみかんKiiSearch

「映画祭の課題」

 田辺市で開催された第11回田辺・弁慶映画祭で、コンペ作品9本を鑑賞した。これに招待作品2本を加えると、3日間で計11本、延べ744分も鑑賞した計算になる。

 ▼第1回から関わっているが、時にはスクリーンの前に座り続けるのが苦痛だった年もあった。しかし、今年のコンペ作品は従来にも増して水準が高く「もっと見たい」という思いを強くした。

 ▼グランプリに選ばれた「赤色彗星倶楽部」(武井佑吏監督)は、天文学部の高校生が地球に接近する彗星と同じ核を作ろうと奔走するストーリー。はるか昔に過ぎ去った高校時代のざわめきが呼び起こされた。

 ▼観客賞の「三尺魂」(加藤悦生監督)は、ネット掲示板で知り合った男女4人が直径90センチ(3尺)の花火を爆発させて集団自殺しようと山小屋に集まる。ところが爆発するたびに時間が過去に戻って生き返り、それぞれの悩みが語られていく。

 ▼この作品で連想したのが、神奈川県で起きた9人連続殺人事件。死を決意しながらも救いの手を求めている人たちに対し、作品はファンタジーで生きる希望を語り掛け、神奈川県の容疑者は冷酷にも若い命を奪い続けた。観客の一人は「被害者になる前にこの映画を見てほしかった」と話した。

 ▼次の10年に向けて歩み始めた映画祭だが、課題もある。その一つは実行委員会の若返り。高校生の素顔を生き生きと描く監督に向き合うには、委員にも若い人材が欠かせない。 (長)



更新)