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「歩いて知る古道」

 先日、新宮市に出掛けた帰りに那智勝浦町の熊野古道・大門坂を歩いた。紀南に住んで30年になるが、大門坂には縁が遠く、一度も歩いたことがなかった。

 ▼那智山旧参道の大門坂は麓から大門跡まで約650メートル。石畳と石段が続き、両側にスギ、ヒノキ、クスノキの巨樹が豪快な並木をつくっている。距離こそ短いが、見どころはたっぷりある。

 ▼南方熊楠が滞在した旅館跡があるし、聖域と俗界を振り分けるとされる振ケ瀬橋、夫婦杉、熊野九十九王子の最後の王子社・多富気王子跡などが森の深い緑と相まって、荘厳な熊野のたたずまいを形成している。人気の観光コースとなっているのがよく分かる。

 ▼途中、地元の語り部の方と一緒になり、いろいろと教えていただく幸運にも恵まれた。その話で興味深かったのは石畳のこと。大門坂は古くからこの辺りの幹線道で、石畳は傷むたびに修復されてきた。江戸時代には徳川家8代将軍、吉宗が紀州藩主の頃、本格的に整備し直された。2011年の紀伊半島大水害で近くの県道が通れなくなった際には、付近住民の生活道の役割を果たしたという。

 ▼石畳は表面が平らな石を単純に並べただけではない。耐久性があり、歩きやすい仕組みになっている。近くには、石畳や石垣などに使う石を切り出すため、幾つものくさびを打ち込んだ跡が残った岩もある。

 ▼熊野古道は歩いてこそ、本当の魅力が味わえることと思い知った。 (沖)



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