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「フランス料理と和食」

 コルシカ島で貧しく育ったナポレオンは、帝位につくと部下に厳命した。「食材には絶対、チキンを使うな。違反すると即死刑だ」。30年以上も安いチキン料理ばかりを食わされて育った反動だった。

 ▼その後、料理長になったリャギュピエールは、一目で分かるチキン料理をディナーに出した。激怒した皇帝に料理長は答えた。「どうかほんの一口、私の料理をお試しを。お気に召さなかったら喜んで首を差し上げます」。

 ▼皇帝は好奇心もあって口にしたが、何と、何と、ついに全部を平らげた。その後、リャギュピエールは皇帝の信任をほしいままにし、外征にも随行した。

 ▼彼の料理の秘密は香料とソースにあったという。ソースの種類の多さこそ、洗練されたフランス料理の秘密だったと随筆家の米原真理さん。一説には3千種もあるらしい。

 ▼フランス料理の濃厚さとは逆に、素材の持つ特性を引き出し、強調する和食は、ユネスコの無形文化遺産にも登録され、いまや食文化の一つの高峰だ。さらにいえば、海外の食文化を積極的に輸入し、独自に進化させたのも和食の特徴だ。ただし、若者世代はファストフード志向が強く、一方で材料の輸入品依存が和食の危機を呼ぶ。

 ▼寒さがつのれば鍋物の季節。材料、味付け次第で、無数の変化がある。宴会や家庭でも「鍋奉行」が自慢の腕を振るう。これにうまい地酒が加われば、日本に生まれた幸せをかみしめられる。 (倫)



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