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「風景写真」

 風景写真の撮影は「一に辛抱、二に根気。三、四がなくて五が幸運」という。その言葉を裏付けるような話を先日、田辺市の写真愛好家から聞いた。

 ▼聞けば先日、朝霧の光景を狙って夜明け前に自宅を出発、川湯温泉の奥まで出掛けた。狙い通り霧が出ていたが、濃過ぎて周囲が見えない。少し晴れるのを待とうと3時間ほど粘ったが、結局一度もシャッターを押す機会がなかったという。根気のない僕には異次元の話だった。

 ▼僕は駆け出し記者の頃から、写真を撮るのが好きだった。当時、先輩から教えられた心得が「一に瞬発力、二に機転。三、四がなくて五が根性」。それを守って撮りまくったせいか、事件現場で撮影した写真が週刊朝日に見開きで掲載されたこともあるし、朝日新聞が毎年発行している報道写真集にも何度か掲載された。

 ▼けれども、風景写真はいまだに苦手である。事件現場やスポーツ写真と比べ、対象の動きが少ないから撮影しやすいはずと、勝手に思い込んでいたせいだろう。

 ▼それに気付いたのは毎週、本紙に掲載される「四季彩々」の撮影者コメントからである。そこには「台風襲来と聞いて、波を撮りに行った」「早朝から雲海を撮りに峠に登った」といった言葉が必ず記されている。

 ▼その言葉と作品の出来栄えを見るたびに「やはり辛抱と根気のない僕には難しい。当然、幸運も舞い込んでこないだろう」と、落ち込んでしまうのである。 (石)


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