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「新聞人の訃報」

 尊敬する新聞人の訃報が続いた。11月30日には共同通信元編集主幹の原寿雄さん、12月6日には朝日新聞の元論説委員、辰濃和男さんが亡くなられた。

 ▼原さんとは面識はない。だが、氏が「小和田次郎」のペンネームで書かれた『デスク日記』(みすず書房)は僕が大学時代、食い入るように読んだ。新聞発行の現場から見たマスコミ批評というだけでなく、そこに流れる新聞人としての気概に胸を打たれ、僕が記者を志望するきっかけの一つにもなった。

 ▼辰濃さんは、朝日新聞の看板コラム「天声人語」を13年間も書き続けられた。その表現力の豊かさと市井の人間に注ぐ温かいまなざし、そして自然保護に対する強い意志に共感を覚えることがしばしばだった。

 ▼印象に残っているのが1982年の9月、2日連続で書かれた天神崎の保全活動に関する記事。田辺を訪れてその活動を紹介しているのだが、1回だけでは書き足りなかったのだろう。末尾に「一つの岬を守るための悪戦苦闘の歴史は、あすまた書きたい」とあり、翌日に活動の詳細が紹介されている。

 ▼一話完結が鉄則のコラムなのに、2日連続で同じ活動を取り上げる。よほど思い入れが深かったのだろう。その情熱に、読者の一人として感動したことを昨日のように思い出す。

 ▼二人はともに、退職後も強い意志を持って活動を続けられた。それが書物として残されている。これからも折に触れて読み返したい。 (石)



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