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「命を賭けた戦い」

 「われが行く定め知りたる今もなお陽の昇りくる明日を夢見る」。外国旅行にも同行した親友の年賀欠礼通知にあった和歌だ。不治の病との闘いで迎える新年に、自身を鼓舞する決意を見て思わず涙した。

 ▼コラムニスト神足裕司氏のエッセー『一度、死んでみましたが』にも心を揺さぶられる。神足氏はテレビ、ラジオ、映画などで広く活躍していたが、6年前、くも膜下出血で倒れ、奇跡的に蘇生した。

 ▼要介護度は5。半身まひで、自分では何もできないが、書くことは何とか可能になった。それを生きがいに必死で頑張る。現在朝日新聞に「コータリンは要介護5」を連載中で、先日はおしめと格闘する話だった。明るく書いても、これは介護の最終的難問だとつくづく思う。

 ▼芥川賞作家・高橋三千綱氏の闘病記もすごい。私は岩波書店の月刊誌『図書』の連載で読む。5年前64歳で食道がん手術を受けた。その後、肝硬変で余命4カ月と宣告され、いまもいろんな病気のオンパレードだ。

 ▼「今度は胃がんが見つかった」と書く。しかも医者の勧める手術は「自分で決める」と拒否。治療を含め、自身の意見を常に持ち、したいことをしてそれを書きまくる。医者にすれば手に負えない患者だが、死の恐怖に打ち勝つ手段でもあろう。

 ▼人生の最後は自力で死に向き合うしかない。「人はタフでなければ生きられない」とはハードボイルドの名探偵、F・マーローの言葉だ。(倫)

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