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「創作四字熟語」

 三十数年前、週刊文春に「萬流コピー塾」という連載があった。人気絶頂だったコピーライター、糸井重里さんが主宰し「川柳より面白い萬流」と銘打って、読者から募ったコピーを紹介していた。

 ▼そこには毎週、凡人には想像を絶する秀作が掲載され、読むたびに世間には驚くほどの才能が眠っていると感心した。僕も戯れに何度か応募したが、しょせんは佳作止まり。コピーライターを志望しなくてよかったと思い知らされた。

 ▼時代は変わっても、この社会には埋もれた才能が数多く眠っている。そう思わされるのが毎年、この時期に発表される「創作四字熟語」である。今年も主催の住友生命から世相を反映した作品の資料が届いたが、どれもみな面白い。

 ▼まずは14歳でプロ棋士となり、脅威の活躍を見せた藤井聡太さんに寄せた「棋聡天才」。「奇想天外」のもじりだが、彼の活躍ぶりを表して余りある。次は「九九八新」。何のことかなと思ったら、陸上競技で10秒の壁を破った桐生祥秀選手の日本記録9秒98を「緊急発進」になぞらえた言葉だった。

 ▼他にも宅配業界の労働環境を表現した「荷労困配」(疲労困憊)、「退位特例法」成立を受けた「世代皇代」(世代交代)、猛毒を持ったヒアリの上陸を迷惑がる「蟻来迷惑」(有難迷惑)などがあった。

 ▼こうした作品をひねり出す人たちの頭脳には一体、何が宿っているのだろう。せめてお顔だけでも拝見したい。 (石)


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