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「100年早かった智の人」

 東京・上野の国立科学博物館で開かれている南方熊楠生誕150周年記念企画展「100年早かった智の人」を観覧した。会場は多くの来場者でにぎわい、特に30〜40代の人たちの姿が目立った。

 ▼熊楠の生涯を分かりやすく説明した上で、収集した標本や自筆の図譜などを展示しており、簡潔だが見応えのある内容だった。中でも興味深かったのは「智の構造を探る」と題したコーナー。熊楠の代表的な著作である「十二支考」を題材に、原稿を書く過程のメモを取り上げ、世界各国の膨大なエピソードを理論的に組み立てていく過程が解説されていた。

 ▼熊楠は生涯をかけて膨大な数の標本や図譜、抜き書き、書籍、新聞の切り抜きなどを集めたが、それらを体系的にまとめることはしなかった。従来は、研究分野が広過ぎて一人の人間が取り組むにはあまりにも時間が足りなかったと思われていたが、近年の研究でそうではなかったことが分かってきた。

 ▼ヒントになったのはインターネットの普及。その検索エンジンを利用することで誰もが膨大な情報の中から自分に必要なものだけを選択することができるようになった。熊楠が集めた資料や標本、文献をネット上の情報、頭脳を検索エンジンに置き換えるとその業績や思考過程が理解しやすいという。

 ▼熊楠は100年前に、現代の情報化社会の構造を作り上げていた。展示会が示した、そのような結論に納得した。 (長)


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