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「世界遺産と山里の暮らし」

 年明けは、休日のたびに田辺市の近郷を歩いた。初詣は国立公園に追加指定された龍神山だったし、世界遺産・熊野古道では高原熊野神社を起点に滝尻や十丈王子方面を散策。北郡越では鮎川と清姫茶屋の間を往復した。

 ▼目に留まるのは、道端の小さなほこらや道祖神。そして道普請の跡。高原熊野神社に近い針地蔵には花や榊が供えられ、周囲が掃き清められている。夫婦地蔵では2体の地蔵さんがおそろいの毛糸の帽子をかぶせてもらっていた。

 ▼北郡越ではお薬師さんや道祖神に新しい榊が供えられ、ペットボトルの水も添えられていた。途中の難所には丸太づくりの新しい橋も整備されていた。龍神山の頂上近くの龍神宮にはしめ飾りがかけられ、ウバメガシの巨木には新しいしめ縄が巻かれていた。

 ▼こうした光景を見るたびに、土地の神々を家族の一員のように守り続けてきた人々に思いをはせる。観光資源とか観光プロモーションとかいう言葉が生まれるはるか前から、営々とほこらを守り、道普請を続けてきた人々の暮らしがあればこその世界遺産であり、文化財であることを思い知らされる。

 ▼その守り手が年々減っている。集落そのものが消滅した地域もある。その現状にどう対処すればよいのか。千年以上も守り続けてきた地域の民俗、文化を未来への資産とするためには、観光資源という視点だけでなく、山里の暮らしを応援する視点と施策が求められる。 (石)



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