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「小便も凍る」

 太平洋側は穏やかな日が続く。しかし、日本海側などの積雪は例年の5倍を超えるという。列島に春はまだまだ遠そうだ。新潟出身の友人が真冬の日差しを仰ぎながら「冬にこんな日はないんだよ」とよく言っていた。

 ▼紀南では極寒の実感は薄い。小学校時代、初雪が降った日は全校で午前の授業が中止になり、雪遊びをさせてくれた。先生が「満州(現在の中国東北部)では、男性トイレに金づちを置いている。小便がすぐ凍るから、これでたたく。トン、シャー、トン、シャーだ」と体験談を披露してくれた。南国少年の私には異次元の話だったが、事実かという思いはいつもあった。

 ▼新潮社の雑誌『波』の最近号で、写真家・中村征夫氏と作家・椎名誠氏の対談を読んで納得した。二人とも極北の写真を撮りまくった体験者だ。

 ▼シベリアでは野外がマイナス40度になると涙が凍る。50度以下だと、地面で跳ね返った小便がすぐ弓状に氷結する。現地では無理に飛ばさず、ヤッケ(上着)に引っかけるのが正しい小便の作法という。あっという間に凍って、後はパン、パンとたたいたら、きれいに落ちるそうだ。

 ▼以前、シベリアでそりを引く大型犬ハスキーを飼ったことがある。雪でも降ろうものなら大はしゃぎだったが、老人には持て余したから人に譲った。今年の干支(えと)はいぬ。極寒をとことん愛した昔の愛犬を、寒さに弱い高齢の私は懐かしく思い出した。 (倫)


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