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「自分の言葉」

 白浜町の平草原にある紀州博物館の学芸員、玉田伝一郎さん(59)はこの地の歴史や人物、民話などを紹介するDVDを次々と制作。関係者に贈っている。

 ▼有間皇子物語、南方熊楠の生涯、白浜空襲、民話・白良浜の甲羅法師、旧南富田小学校火災事故の記録など、この8年間に作った作品は100作以上。「地域の歴史や文化を分かりやすい形で残したい」という執念と、学生時代、デッサンをしていた経験を生かし、パソコンで絵を描き、後から音声を収録している。

 ▼興味深いのはその制作方法。当初は、絵や映像の制作、登場人物の声、録音など全ての工程を自身で担当していたが、近年は作品の内容に関係する人たちに登場者の音声を担当してもらうようになった。

 ▼「物語の全貌をつかまないと、感情が乗ってこない。語りを担当する人が画面に登場する人や事件への理解を深め、練習を重ねていくと、それぞれ自分の言葉で第三者に説明できるようになる。そのことが大事」と気付いたという。

 ▼きっかけは3年前。田辺・弁慶映画祭の応援として昭和初期の記録映像「懐かしの田辺」を作った。この時、田辺高校の生徒にナレーションを務めてもらったことだった。当事者になったつもりで考え、そしゃくするから自分の言葉で相手に響くように伝えることができるという。

 ▼昨今、この社会には「借り物の言葉」が氾濫していると感じていただけに、新鮮に聞こえた。(沖)


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