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「上富田町長選」

 南部川村とみなべ町の村長、町長を連続27年間務めた山田五良さんが自著「むらおさ物語」にこんな言葉を残している。「選挙という川を渡るには、丸裸になって激流を横切らなければ対岸に到達できない」。

 ▼後には無投票当選を重ねた人だが、最初の選挙は現職が相手だったから、その厳しさと、当選してからの苦労が終生忘れられなかったのだろう。

 ▼新顔3人が立候補し、41年ぶりの投票となった上富田町長選で、奥田誠氏が当選した。地縁、血縁の強い土地柄で、それぞれ有力な支持層を持つ3人が「丸裸になって激流を横切った」が、若さを強調する奥田氏が激戦を制した。

 ▼前任もその前の町長も、ともに5期連続無投票当選で、それぞれ20年の任期を全うした。その働きが評価されたのだろうが、住民からいえば投票という形で信任、不信任の意思表示をする機会がなかったことは事実である。

 ▼ところが、今回は町内を三分した激戦だったから、その後遺症が出る可能性もある。応援したことを理由に無理を押しつける人もあるかもしれない。まずは公平公正な仕事でそんな懸念を吹き飛ばしてもらいたい。

 ▼山田さんはまた、こんな言葉も残している。「権力だけを振り回す村長ができては困る。己を過信し、村民の顔が見えない村長にむやみに刀を振り回されては危なくてしようがない」。村長を町長、市長に置き換えれば、どこの自治体にもいえることだろう。(石)


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