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「実効ある受動喫煙対策を」

 朝日新聞大阪本社で、大阪府警を担当していたときの話である。ある日、記者クラブにある「ボックス」の大掃除をした。広さは15平方メートル足らず。そこに詰めている同僚8人が手分けして不要な資料などを廃棄し、机と壁も雑巾と洗剤を使って懸命に磨いた。

 ▼1時間ほどで見違えるようにきれいになったが、雑巾もバケツの水も薄汚い茶色。机や壁に染みついたたばこのヤニが洗剤で溶け出したのだ。それを見たキャップが「この成分がみな、たばこを吸わない人の肺にも入る。理不尽な話だ。みんなの健康を守るためにも、吸いたい人は外で吸うように」と宣告した。

 ▼39年も前のことである。その後、受動喫煙の害が盛んに取り上げられるようになり、いまは職場や学校、公共施設などは禁煙が常識になった。家庭でも、一家の主がベランダや屋外に出て吸う習慣が定着しつつある。

 ▼ところが、厚生労働省が公表した新たな受動喫煙対策案は、こうした流れに逆行している。当初は敷地内をすべて禁煙とするはずだった小中高校、医療機関でも、ついたてなどを設ければ屋外に喫煙場所を設けることができるし、飲食店なども150平方メートル以下なら全面禁煙の適用除外となる。

 ▼これで受動喫煙の害を防ぐことができるのか。愛煙家には都合がよくても、吸わない人が健康被害を心配しなければならないのでは理屈が通らない。言葉通りの「受動喫煙対策」を進めてもらいたい。 (石)



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