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「地方の公共交通」

 高野山から龍神温泉経由で熊野本宮大社まで約5時間、ひたすら山間部を走る「聖地巡礼バス」の昨年の利用者が目標の3千人を突破した。4月から11月まで期間限定の運行だが、利用者は3212人。うち外国からの旅行者が3割を超す。

 ▼まずは成功である。この便が定着すれば、熊野と高野山を巡る旅が格段に便利になる。従来は高野山から橋本、和歌山を経由し、JRを乗り継いで田辺か新宮に向かい、本宮大社を目指していたが、二つの聖地を直結することで、巡礼者を増やす条件が整った。

 ▼旅行者が増えれば、地域も潤う。運行しているバス会社の社長に聞くと「私たちだけの努力では限界がある。関係自治体の協力のおかげです」という答えが返ってきた。

 ▼この仕組みを過疎地の交通網にも応用できないか。人間に例えれば毛細血管のような地域の路線を自治体とバス会社の協力で確保し、過疎地に住む人たちの利便性を確保するのである。

 ▼日常の買い物も、市街地の病院に通うにも、運転免許を返上した高齢者にとっては大変なことである。中学、高校に通う子どもたちにとっても定期の路線バスがあれば、大いに助かる。目先の採算性だけで切り捨ててしまうのでは芸がない。

 ▼地域の公共交通については、住民福祉の向上、住みやすい地域の基盤整備という二つの視点で取り組んでもらいたい。それができれば、地域を元気にする展望も生まれてくるはずだ。 (石)



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