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「スポーツの妙味」

 氷上で滑走するスピードスケート選手を初めて見たのは1968年の晩秋。長野県・八ヶ岳にある白駒池だった。そこは本州で最初に氷結する天然リンク。日本のトップ選手らがその冬の初滑りをするというので取材に行った。

 ▼それぞれ氷の感触を楽しむように滑っていたが、目の前を通り過ぎる速度は驚くほど速い。それでも、当時の日本選手のレベルでは、オリンピックでメダルを獲得するにはまだまだ距離があった。

 ▼ところがいまは、次々にメダル争いに加わっている。14日の女子1000メートルでは小平奈緒さんが銀、高木美帆さんが銅メダルを獲得した。高木さんは1500メートルの銀メダルに続く二つ目のメダルである。

 ▼スケートだけではない。スキーのジャンプでは高梨沙羅さんが銅メダル。男子モーグルでは原大智選手が銅、男子複合の渡部暁斗選手とスノーボードの平野歩夢選手が銀メダルを獲得した。

 ▼世界を相手に堂々と戦っている選手の姿をテレビや新聞で見るたびに、ここまで到達するのにどれほどの練習を積んできたのか、どんな苦労があったのかと想像する。懸命の努力を重ね、自らを高めても、世界にはまだ上がある。そんな過酷な世界でメダルを手にすることがどれほど難しいことか。

 ▼それは苦労してきた選手と、それを支えてきた周囲の人が誰よりもよく知っている。その真実が僕らの胸を打つ。メダルの色を超えて、そこにスポーツの妙味がある。(石)

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