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「官僚と政治家の作為」

 働き方改革関連法案を巡って、官僚と政治家の「不都合な真実」が表面化している。安倍晋三首相が答弁を撤回して陳謝し、厚生労働相も首相答弁の根拠となったデータの扱いが不適切だったと謝罪した。

 ▼問題の裁量労働制に関するデータは3年前、厚生労働省が作成。それを基に、当時の厚労相が「(労働時間は)むしろ一般労働者の方が平均でいくと長い」と答弁した。

 ▼それがそのまま踏襲され、首相答弁の根拠にもなっていたようだ。しかし、当の資料には「1日の労働時間が12時間を超える働き手の割合は、裁量労働制で働く人の方が一般労働者より多い」ことも示されている。そこを無視して、都合のよい部分だけを強調していたのだ。乱暴な話である。

 ▼官僚と政治家、企業家が結託し、時には学界の権威やマスコミまでが加わってこうした作為的なことをするのは珍しいことではない。山本義隆氏の新著『近代日本一五〇年』(岩波新書)を読めば、そうした事例は山ほど出てくる。

 ▼明治の足尾鉱毒事件や女工哀史、戦時中の軍需工場、戦後の水俣病をはじめとする数々の公害事件、そして現代の原発。それらの問題について、裏付け資料を明確にし、静かな語り口でことの本質をあぶり出している。

 ▼難しい話は平易に、強い主張は冷静にという論の進め方にも共感する。高級官僚や政治家諸氏にも一読をお薦めしたい。視野が広がり、思考も柔軟になるはずだ。(石)


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