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「平昌五輪」

 平昌五輪も佳境を迎えた。皆さんはどんな楽しみ方をされたのか。純粋に美の祭典として見るのも一興。日本人びいきに徹するのも面白い。

 ▼今回は核だ、ミサイルだという軍事対立の中での南北協調も刺激的だった。表面はにこやかに、机の下では蹴飛ばし合いながら、という分断国家の不条理も垣間見えた。

 ▼私は極寒という苛烈な自然条件のなかで、可能性の限界にまで飛び、走り、滑る技に心を奪われた。時に高く舞い上がり、空中を切り裂く造形美のシルエットに息をのむ。主役が誰であろうが「人はここまでできるのか」と、その極限をひたすら楽しんだ。

 ▼たまたま米国人の書いた『人体600万年史』(早川書房)を読んでいたからかもしれない。その本によると、人間の進化の歴史の中で決定的な分岐点は、600万年前に二足歩行能力を得た時。人は樹上から地上に降り、類人猿に別れを告げて、ひたすら知的存在へと進化の舵を切ったという。

 ▼最初、人間の動きはのろくてぎごちなかったが、手が移動手段から解放されたことで、新しい能力を次々と身に付けた。足の進化もすごい。人間は通常、歩くときに土踏まずをこわばらせる。これで身体を浮き上がらせてから、前に進ませることが可能になった。

 ▼今、平昌五輪で披露されている美技は、そんな人類の進化の多様な到達点だと思えば、政治次元の愚かしさもしばし忘れ、堪能することができたのだ。 (倫)


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