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「梅は百花のさきがけ」

 ここ数日の暖かさに誘われて、梅の花が一気に開いた。平野部はほぼ満開。白くかすみがかかったような梅林には大量のミツバチが飛び交い、盛んに受粉作業を続けている。川向こうに梅畑を望む喫茶店で出会った知人は「花が遅かった分、ミツバチの活動が活発。今年の梅は出来が良さそうだ」という。

 ▼ほんの1週間ほど前までは、今年はことのほか寒い、いつになったら花が咲くのか、と会う人ごとに話していたのがうそのようだ。梅は百花のさきがけ。春を告げるこの花が咲くだけで人々の表情が緩んでくる。陽光は日に日に強くなり、吹く風も暖かくなった。

 ▼会社を早退して田辺市の新庄総合公園に足を向けると、2月の初めとは様相が一変している。花壇では菜の花が咲き誇り、色鮮やかなパンジーの花が揺れている。丘を下って自然林に向かえば、ヤブツバキの大木が真っ赤な花を咲かせている。道端には黄色いスイセンの花が満開だ。

 ▼冬場には数十羽のカモが泳いでいた二つのため池には、もう一羽も見当たらない。この地で冬鳥が活動する時季は終わったのだろう。誰が命じたわけでもないのに、花も鳥もミツバチも、季節の歩みに合わせるように、命をつなぐ活動を開始する。その多彩な営みの一端に接するたびに胸が弾んでくる。

 ▼「春めきてものの果てなる空の色」(飯田蛇笏)。吹く風、空の色までが昨日とは違って見える。心の浮き立つ季節である。 (石)


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