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「わが人生に悔いなし」

 「自分は運がいい方だと思うか」という問いに、7割以上の人が「はい」と答えたという。そんな調査結果が先日の朝日新聞別刷りに掲載されていた。

 ▼やれ格差が拡大した、孤独死も増えたなどといわれる世相ではなかったか。世間の人は、結構楽観的だなと改めて知った。これでは保守一極支配が続くはずだとも納得する。

 ▼自分で運が良かったと思えた出来事には結婚、子育て、就職、打ち込んだ成果などの項目が並ぶ。あまり高望みしなければそこそこ幸せになれると多くの人が信じる社会は、基本的には健全ということだろう。

 ▼同じ紙面の別の面には「サザエさん」の再録がある。カツオ君が先生に返してもらった答案は75点。隣の秀才カギっ子は100点だ。秀才の方は自室に物はあふれていても独りぼっちだから、答案を窓から投げ捨てる。一方、カツオ君はお母さんに「75点ならよかった、よかった」と褒められ、しっかり抱きつく。

 ▼作者のメッセージは明快だ。皆が「ほどほど」「ちょぼちょぼ」と信じ込むのが日本社会では幸せのこつなのだろう。

 ▼最近、友人が病死した。かねて覚悟の死だったから、書きためていた趣味の俳句を『わが人生に悔いはなし』という本に編集、葬儀の列席者や知己に贈った。それぞれの句には前向きで楽観的な彼の人生観が凝縮されており、受け取った人は、心から楽しんだ。悲観派にはうらやましい人生の締めくくりだった。(倫)

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