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「夏の夜空」

 「梅雨明け10日は晴れ」ということわざがある。梅雨が明け、真夏の高気圧が張り出すと、しばらくは好天が続くという意味である。

 ▼言葉通り、紀伊半島南部では梅雨明け宣言と同時に連日、すっきりした空模様が続いている。青い空、白い雲。遠くへ広がる青い海。そして田辺の市街地から眺める高尾山や槇山の緑。紀南の夏はことのほか美しい。

 ▼夜空も見応えがある。地上の明かりの少ない郊外に足を延ばすと、長雨の季節にはご無沙汰だった夏の星座がくっきり見える。小学生の頃の星座観察からなじみのある北斗七星と北極星。さそり座の雄大な構図は、眺めているだけで気分が壮大になる。

 ▼小さな星の群れをちりばめたように見える天の川が圧巻だ。年に1度、七夕の夜に天の川を渡って出会う、織り姫(ベガ)とひこ星(アルタイル)の物語を思い浮かべ、その昔、ドリカムの吉田美和さんが歌ってヒットした「7月7日、晴れ」を口ずさみたくなる。

 ▼夏の夜空を彩る天の川と、年に1度、この川を渡って会う織り姫とひこ星の物語は、明治を代表する作家、夏目漱石にとってもお気に入りだったようで「別るるや夢一筋の天の川」の句を残している。

 ▼こうした物語に思いをはせることができるのも、環境に恵まれた紀南の地であってこそ。夜空を見上げるたびに、この環境を未来に引き継いでいくことが、いまに生きる私たちの役割だという思いを新たにする。 (石)


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