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「害と碍」

 兵庫県宝塚市が公文書に使う「障害」の表記を「障碍」に変えると決めた。碍は常用漢字になく、自治体としてそれを公的に使用するのは初めてではないかという▼同市は、これまでも「障害者」などと表記すれば「障害のある人に問題があるかのようなマイナスの印象がある」として、市の広報紙などでは「障がい」と平仮名書きにしてきた。それをさらに進め、条例も含めたすべての表記を「障碍」とする。4月から運用し、表記が定着するまではルビを振るそうだ▼大胆な決断である。一般的に法律や公文書の漢字は、常用漢字表に盛り込まれた漢字を使うことが基本。数多い漢字の使用を無制限にすれば読めない人が続出し、逆に不便になるからだ。新聞社もそれに準拠して「新聞用字用語」を定めている▼にもかかわらず、あえて双方にない「碍」の字を使うのはどうしてか。辞書によると「害」には祝福の祈りを害する意味があり、阻害、災害などと使う。「碍」には石によってさえぎられる意味があり、ハンディのある人の行く手が阻まれている実態を表すのに近い▼そうしたことを考慮した結果が今回の決断になった。害と碍。わずか一文字の違いだが、両者の間には天と地ほどの開きがある。障碍のある人に寄り添うのか、その人の痛みを漫然と見過ごすのか。それをあぶり出すリトマス試験紙のような漢字といってもよい▼宝塚市の決断に拍手を送りたい。(石)


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