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具体的な未来像を 田辺市長4選

 田辺市長選で、現職の真砂充敏氏が無投票で4選された。2005年5月に旧5市町村の合併で誕生した新しい田辺市の市長となって以来、市の基盤をつくり、行財政改革を進めてきた手腕が評価されたのだろう。

 真砂市政は合併に先立ってまとめた市町村建設計画を基に、世界遺産熊野本宮館、観光センター、市立図書館、学校給食センターなどを整備した。田辺スポーツパークの建設、紀伊半島大水害からの復旧など建設計画になかった課題にも対応した。

 財政の健全化も進めた。合併直後は19・7%だった実質公債費比率を15年度には9・2%までに改善。市の貯金に当たる基金は合併時の106億円から209億円にまで上積みした。

 真砂氏は「3期の市政運営を10点満点でいうなら、6点か5・5点。及第点がもらえるかどうか」と採点。今後は新しいまちの未来像を描く必要があるとして「扇ケ浜を核としたまちづくり」「山村の活性化」「未来を開く人材の育成」を重点項目に掲げている。

 たしかに、いくら実績を上げても、市政は生き物。新たな課題が次々と登場してくる。人口減社会への対応もその一つである。山間部に限らず、市街地でも少子高齢化が進み、空洞化が目立つ。商店街の商品販売額は最近20年間で8割も減少した。外国人を中心に訪れる人は増えているが、それが地域の繁栄には直結していない。

 そこで真砂氏は、扇ケ浜公園に合気道の開祖・植芝盛平の顕彰施設を含めた新武道館を建設し、闘鶏神社や南方熊楠顕彰館との連動性を高める計画を公表している。

 しかし、巨額の税金を投入しても、その「器」を生かす政策が伴わなければ意味は半減する。空き物件を改装して新たな価値を加えたり、市庁舎移転後の跡地を活用したりしながら、民間の力も借りて人の集う場をつくる努力が求められる。

 子育て支援も待ったなしだ。例えば、子どもの医療費については県内の大半の自治体が中学または高校卒業まで無料にしている。しかし、田辺市は入院が中学校卒業まで、通院は就学前までで、他市町村から大きく遅れている。

 公共交通の整備も急がれる。市民意識調査では、7割近くが「不満」としている。交通手段確保のために、市は年間約2億2千万円の公費を投じているが、効果のほどは検証されていない。こうした点にもメスを入れ、対策を練る必要がある。行政と事業者、市民の3者から知恵を出し、市政に反映させなければならない。

 市庁舎や道路など主要な公共施設の管理費にも切り込んでいかねばならない。現状でも年間約30億円を支出しているが、その整理や活用にも工夫が必要だ。

 真砂氏は、今後の4年間を「未来へつながる第一歩」と位置付けている。市民に未来像を示し、それを生かしたまちづくりに突き進んでほしい。4期目ともなれば、存分に力が出せるだろう。 (K)



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