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上富田町長選 さらなる発展への好機に

 上富田町の町長を5期連続、20年間務めた小出隆道氏(71)が来年1月28日に投開票となる町長選への不出馬を表明した。

 同町長選は前町長時代から合わせて10期連続、40年間も無投票が続いている。現時点では立候補を表明した人はいないが、44年ぶりの選挙戦になる可能性があり、住民らの関心も高まっている。

 町長選まであと4カ月。現町政の路線を継続するのか、見直すべきは見直して新たな展開を探るのかが争点になる。

 小出氏は1998年1月に初当選。厳しい財政状況を立て直すために行財政改革を進め、並行して教育や生涯学習の充実に取り組んだ。2000年には「児童表彰条例」を制定。子どもを褒めて育てようと「親切賞」「友情賞」などを設けて学校で表彰するようにした。褒められた子はその後の人生の自信につながっているという。

 子どもの読書推進にも力を入れた。未就学児や小学1年生、中学1年生には町が図書を贈呈。毎年夏休みには、楽しみながら読書習慣を身に付けようと「読書マラソン」に取り組んでいる。

 15年には、町と熊野高校がまちづくりの連携協定を結び、高齢者宅の訪問や口熊野マラソンの手伝いなど、生徒らが町の取り組みに参加する道を開いた。小中学校と高校との連携にも力を入れ、町を挙げて教育の質を高めてきた。

 小出氏は町長選への不出馬を表明した後、20年間の町政を振り返って「明るい町になった」と述べた。若い力が町を元気にしているという実感があるからだろう。

 一方で、課題も山積している。小出氏は田辺市との合併に積極的だったが、行政課題の調整で折り合いがつかず、03年に田辺広域での合併を断念。田辺市との2次合併の道にも踏み込まず、単独町政の道を選んだ。

 このため合併特例債が使えず、周辺市町に比べて財源が確保しにくくなった。人口が増えているため過疎地とは見なされず、返済が有利な過疎債も発行できない。加えて住民1人当たりの普通交付税額も県内の市町村では一番少ない。町の一般会計は約58億円の規模に上るが、町が独自の施策に振り向けられる額は少ないのだ。

 そんな中、遅ればせながら来年4月から学校給食が始まる。将来的な人口減少を見越して企業用地を増やし誘致活動を進めている。一方では、子どもの医療費無料化の拡充を求める住民の要望も根強い。ようやく具体化してきたスポーツ観光も充実させなければならない。新たな枠組みでの合併話が再燃する可能性もある。

 新たな課題は次々と想定されるが、町政に空白は許されない。限られた予算の中で、こうした事業の優先順位をどうするか、町の独自色をどのように打ち出していくか。

 町長選は町の将来を考える機会でもある。立候補を考えている人には、こうした現状を踏まえて町の将来像を描き、政策を戦わせてもらいたい。(H)



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