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被災後の復興計画 住民もわがこととして

 県は、近い将来に予想される南海トラフ地震の被災後を見据えた復興計画を来年度中に策定するよう、市町村に求める。

 なぜいま、当面の対策とは別に被災後を想定した復興計画を策定するのか。県は(1)地震や津波で被災した後、すぐに復興事業に着手できるようにする(2)将来にわたって災害に強く、暮らしやすいまちづくりのきっかけにする―ことが目的で「あらかじめ市町村が住民と話し合い、方針を決定しておくことが重要」と説明する。

 東日本大震災では、被災後に住民の意見がまとまらず、復興の着手が遅れたり人口が大幅に減少したりした地域がある。県は「行政も住民も何から考えるべきか分からないような状態では、復興は進まない」「逆に、平時から被災後に議論するたたき台を持っていれば、いざというときにことがうまく進む」という。

 この方針に則して、県は有識者による「研究会」を1月に設置、市町村長らも招いて、復興計画策定の「手引案」作りの議論を進めてきた。

 手引案では、市町村が対象地区を選定。命や暮らし、産業を守るための基本方針を検討し、海岸沿いについては、その後の津波に備えて土地のかさ上げや高台移転など、地域に合わせたまちづくりを考えるよう求めている。

 県によると、本来は被災前に対策ができればいいが、現状では財政面や住民の土地への愛着などから、なかなかことが進まない。そのため、被災後を見据えた計画を作り、いまのうちに住民の合意を得ておきたいという。

 こうした県の方針に対する市町村長らの反応はどうか。串本町の田嶋勝正町長は「積極的に計画作りを進めたいが、住民との合意形成を練りに練って詰めていかないと、逆に混乱を起こすものになる」と心配する。

 白浜町の井澗誠町長も「何とか頑張りたい」としながらも「地震が起こる前に何かできないか、まず優先して考えないといけない」と発言。公的施設の高台移転を進めるすさみ町の岩田勉町長は「復興計画より前に、防災、減災の実施が僕らの責任。復興より、復興することが少なくなるよう、いまやっていることへの支援や技術的な助言を」と求めた。

 市町村は近い将来、必ず起きると懸念される地震や津波から住民を守ろうと力を注いでいる。しかし、住民の協力が得られず、進んでいない対策もある。新宮市の田岡実千年市長は「住宅の耐震化をどうやって進めていくべきか」と頭を抱えていた。

 そうした悩みにどう対処するか。県は事前に被災後の復興計画を策定する過程で、行政と住民が議論を重ね、防災への意識を向上させることが大切と強調する。

 住民もまた、大地震は必ず来ると認識し、わがこととして「建物の倒壊から命を守る」「津波から逃げる」手立てを考えなければならない。やれることは、いくつもあるはずだ。(K)


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