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白浜空港の「民営化」 地元本位の視点で

 南紀白浜空港の運営事業者を県が公募している。第1次審査書類の提出期限は1月5日。2019年4月の事業開始を予定して4日に空港で開いた説明会には、さまざまな業種から23社が参加した。

 旧空港を閉鎖して1996年に開設した現在の白浜空港は県が管理し、空港ビルは県や日本航空などが出資する第三セクターが運営している。

 日航は東京(羽田)との間で定期便を1日3往復させており、その利用者数はここ数年、10万〜12万人前後、搭乗率は7割ほどで推移している。チャーター便が飛ぶこともあるが、空港の維持管理に掛かる支出が多く、年間で約3億円の赤字が出ている。

 そこに民間の力を導入し、就航便の誘致やビルの活用につなげたいというのが県の構想。港湾空港振興課は「行政機関の弱点といえる営業力や人的ネットワーク、スピード感を生かしてもらいたい」と期待する。

 すでに関西、伊丹、仙台空港などでは民間による運営が始まっており、高い需要を背景に業績を伸ばしているところもある。規模は違うが、白浜空港の運営に経営感覚を取り込みたいという県の狙いは理解できる。

 公募に際し、県が求めているのは大別して3点ある。国外分も含めて便数を増やすこと、それらを受け入れられる施設の配置を考えること、一連の取り組みによって運営コストを抑えることだ。

 具体的にいえば、例えば現在のビルの配置の改善がある。現状では搭乗待合室や到着口はともに1カ所しかなく、定期便の間にしか別の飛行機は離着陸できない。国際便だと出入国管理や税関なども必要になる。

 現状では、航空路線やチャーター便を誘致する際のマイナス点になりかねないが、この問題を解消できれば、にぎわいを生み出せる可能性も出てくる。ヒトやモノの流れが活発になれば、飛行機を利用するだけでなく、空港へ行くこと自体が目的にもなり得る。

 公募に際して、県は事業者に事業方法を自由に選べるようにし、運営権の譲渡を事業者が希望する場合は、その対価を「0円」とする。上限を設定して費用負担の準備をすることも明らかにした。こうした仕組みにすることで、安全性やサービスの低下を防ぎ、現状からの「上乗せ」ができると県は説明している。

 幅広くアイデアを募り、青写真を描くことは大切だ。同時に、県や事業者には、地元を大切にする視点を忘れないでもらいたい。

 周辺市町は空港ビル会社に出資しているし、熊野古道や白浜温泉などを有する観光地でもある。白浜空港の在り方は、紀南に暮らす私たちの生活にも影響する。

 空港運営者の公募について、県が空港運営から手を引くのかと不安を持つ人もいるだろうし、民間活力を引き出してほしいと願う人もいるはずだ。ポイントは、地元とともに羽ばたく空港をどう創り上げるかにある。 (N)


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