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田辺の商店街 官民連携で元気なまちに

 田辺市のJR紀伊田辺駅周辺を盛り上げようという機運が高まっている。市の景観整備に呼応し、民間も商店街の空き店舗を活用したイベントや駅前広場での催しを始めた。こうした動きが「熊野の玄関口」再生のきっかけになるのか、注目したい。

 市の2017年の調査では、中心市街地10商店街の空き店舗率は18・7%。駅前商店街に限ると23・7%である。市民意識調査で、市街地に魅力を感じる市民が14%というのも無理はない。

 事態を打開するため、市は09年から国の5カ年事業を導入し、100億円超をかけて、景観や道路整備に取り組んだ。本年度からは国の補助事業で駅前や闘鶏神社周辺の整備にも着手している。

 しかし、活性化の鍵を握る民間の動きは鈍かった。

 地域づくりの先進地ではいま、「エリアリノベーション」が注目されている。本来は古い建物の再生を意味する言葉で、それが同じエリア内で同時多発的に起こり、つながることで地域全体の雰囲気が変わることを指している。

 ここでの主役は使う人。彼らが場所と使い方を探し出し、どのように、いくらで造るかを決めていく。そうした試みが連動して行政を動かし、仕事したい人が、仕事しやすい環境を形成していく。そこからまちのにぎわいが生まれてくるという仕組みである。

 その際、行政に求められるのは従来の手法にとらわれず、大胆に規制を緩和すること。公共施設の貸し出しや道路の使用許可などに柔軟に取り組めば道は開ける。

 例えば、市が駅前の弁慶像前広場の運用を見直したのがその一つ。従来は禁止されていた物販のイベントが条件次第で可能になり、市民団体が手作り市や音楽ライブなどの舞台に活用を始めた。11月にあった手作り市は、観光客と地元住民でにぎわった。

 空き店舗を活用して催しを開く際も、行政が建物や道路の使用基準について柔軟に対応すれば、できることはさらに広がるはずだ。

 民間の意識改革も急がれる。例えば空き店舗の所有者がテナントのフロアを小分けして低価格で貸すことを考えればどうか。借り手には必要な面積だけを借りたいという需要がある。それぞれの家賃収入は低くても、積算すればそれなりの金額になる。

 個々の商店にも、製造から販売までを手掛けたり、小売りと飲食店をセットにしたりして稼ぐ仕組みづくりが求められる。稼げる店が集まれば、地域の人通りも増え、さらに面白いビジネスが誕生する期待も高まる。

 駅周辺には、約200店が並ぶ飲食店街「味光路」がある。この特性も生かしたい。飲食店の集積は、ショッピングモールやネットには代替されにくい。飲食店街が隣接するのは、空き店舗にオフィスを誘致する点で魅力になる。

 現場の実践的な発想から始めよう。民間主導の官民連携のモデルを作り、駅前から市内全域へ波及させてもらいたい。 (K)


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