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紀南のこの1年 「地域力」信じて取り組もう

 この1年を振り返りながら、紀南地域の発展を考えたい。

 まずは世界的な博物学者、南方熊楠の「生誕150周年」の話題から。3月に南方熊楠記念館(白浜町)の新館が開館。5月には熊楠に田辺市名誉市民の称号が贈られた。変形菌の大会もあった。現在も東京都で企画展「100年早かった智の人」が開催中だ。

 熊楠が保護運動を展開した地域は近年、国立公園や世界遺産に登録され、地域の豊かな財産になっている。誕生から1世紀半の時を経てなお、功績は拡大しており、その偉大さを実感した年だ。

 今年は、その紀南地方を含む紀伊半島が世界的に有名な旅行ガイドブック「ロンリープラネット」2018年版世界ランキング(地域編)で5位に選ばれた。日本の一地域が選ばれるのは異例のこと。住民には見慣れた風景であり文化だが、こうした高い評価は地域に自信をもたらしてくれた。

 この評価を裏付けるように紀南を訪れる外国人観光客は急激に増えている。田辺市街地でも、リュックを背負った外国人の姿を見るのが日常となった。

 防災上の課題だった市庁舎の移転計画も動いた。3月に移転先が高台の商業施設用地に決定、新年には建設に向けた動きが始まる。

 約32億円を投入する市街地の景観整備と新武道館建設もスタート。3年間で闘鶏神社参道の美化や駅前周辺の外観の刷新をする。扇ケ浜公園では避難所を兼ねた新武道館を新年に着工する予定。

 スポーツの世界でも、新しい息吹があった。田辺市を拠点に活動する和歌山ファイティングバーズが3月に発足。関西野球独立リーグに加入し、3チームでリーグ戦を展開した。今季は12勝21敗3分で最下位だったが、来季の巻き返しが期待される。

 新しい年には神村学園(鹿児島県)と提携して高校生の育成チームもつくり、プロ野球を目指せる人材育成に踏み出す。

 新しい芽が出る一方で、地域の灯が消え続けている。3月末に田辺市の伏菟野小が閉校して長野小に統合。同時期、すさみ町も見老津小と江住中をそれぞれ、周参見小や周参見中に統合した。

 来年4月には田辺市が富里小と鮎川小を統合する予定。串本町では19年4月を目指し、大島中と串本中の統合準備が進んでいる。

 少子化が閉校を招き、閉校が地域の過疎化をさらに加速させる負の連鎖。これをどう断ち切るか。年が改まっても課題は残る。

 県内に大企業は少なく就職の選択も少ない。若者の流出は止められず、高齢化と人口減少は年々加速度を増す。地域の現状を突破する手は見つからないのが現状だ。

 しかし、嘆いても始まらない。地域の未来を切り開くのは住民の力しかない。

 紀南には世界が認めた観光資源がある。梅やミカンなど高品質の農産物があるし、おもてなしの文化もある。こうした魅力を磨き上げれば道は開ける。自信を持って取り組む1年にしたい。 (N)



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