AGARAKiiLifeみかんKiiSearch

41年ぶりの選挙戦 政策吟味し、一票を

 上富田町長選が23日に告示された。前回の選挙までは10期連続で無投票が続いていたが、今回は前町議の奥田誠氏(54)、前町議の吉田盛彦氏(72)、元町議の池口公二氏(61)が立候補し、41年ぶりの選挙戦になった。

 現職の小出隆道町長(71)は5期連続20年、町政を担っているが、昨秋、今期限りでの引退を表明。その後、3氏が相次いで立候補を表明した。奥田氏は現町政の路線を引き継ぎ、長期的な町政運営を目指す。吉田氏は町役場の雰囲気を変え、費用対効果を考えた事業の見直しなどを主張。池口氏は、住民本位の行政を訴えている。

 しかし、それぞれの主張はどこまで住民に浸透しているだろうか。9日に町内であった3氏の公開討論会に集まったのは約250人。定員800人の会場には空席が目立った。「誰が町長になっても生活は変わらない」と考えている人が多いのだろうか。

 同町は紀南の自治体では唯一、人口が増えている。交通の便が良い、津波の心配がない、土地が相対的に安いなどの点が支持され、移住者が増えているからだ。

 しかし、それに伴って高齢者らの支援にかかる費用は増大している。合併した自治体や過疎地域に比べて交付税が少なく、独自の政策に使える予算が足りないというこの町ならではの制約もある。

 そうした事情を背景に、年間3500万〜4千万円かかるという「中学校卒業までの医療費無料化」は、県内では同町だけが実現できていない。4月からは町内の全小中学校でようやく学校給食が始まるが、給食費を除いた年間経費は7千万〜8千万円。加えて建設にかかった借金の返済も始まる。新たな町長に財政の健全化が求められる理由である。

 将来的な人口減への備えも必要だ。町の予想では、2060年には現在より3千人ほど減るといい、それに備えた総合戦略も立案している。今後は、新たな雇用先の確保や交流人口の増加など、具体化が問われてくる。

 交流人口といえば、小出町長は在任中、上富田スポーツセンターを中核とした「スポーツ観光」に力を入れてきた。しかし、昨年度の数字を見れば、スポーツセンターの使用料などの収入は約1400万円。それに対して維持管理費は約4700万円。町が建設した「スポーツサロン」も含め、スポーツ施設に大きな予算が投入されている。

 こうした施策を維持し、発展させていくのか。それとも方針を修正し、世界遺産などを生かした観光地として活路を求めるのか。そのあたりの対応について、各立候補者がどのような主張をするのか。

 今回は町議経験のある3人が立候補し、それぞれ政策を訴えている。41年ぶりの選挙戦は、有権者がじっくり考えて権利を行使できるチャンスである。それぞれの主張をよくよく吟味し「住んでよかった」と思えるような町にするために、貴重な票を投じようではないか。 (H)



更新)