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上富田町長に奥田氏 町政の継続と独自色

 41年ぶりの選挙戦になった上富田町長選で、無所属新顔の前町議、奥田誠氏(54)が当選した。

 奥田氏は、町長を5期20年間務めた小出隆道氏(72)の町政運営を評価し、その路線を引き継ぐことを強調。小出氏の全面的な支持を得て「健全財政の維持」「子どもたちが輝くまちづくり」などを公約に掲げ、池口公二氏(61)、吉田盛彦氏(72)をかわした。

 町内を三分した激戦だったが、ふたを開けてみれば次点の池口氏に788票差をつけた。「後援会の力が大きかった」という。

 選挙戦では、財政改革や子どもの医療費無料化など3候補の政策には大きな違いはなく、住民の関心を集めたのは小出町政への評価だった。その視点で見れば、42%という奥田氏の得票率は微妙な数字である。人口の多い朝来地区を地盤とし、小出氏の後援会も全面的に応援したことを考えれば、6割近い批判票があったことの意味は大きい。他の2人に投票した住民の声にも耳を傾けつつ町政運営に当たってもらいたい。

 町政の課題は山積している。まずは町の財政健全化。町は単独町政を選択した結果、合併特例債が利用できず、人口も増加しているため過疎債も使えない。そうした事情もあって、県内の市町村では唯一「中学校卒業までの医療費無料化」が実現できていない。奥田氏は選挙戦で、これを推進すると公約しているが、その財源をどう確保するか。奥田氏が語る「計画的かつ効率的な財政運営」「自主財源の確保や国・県支出金など依存財源の確保」の具体化に期待したい。

 小出氏が力を入れてきた企業誘致についても、奥田氏は「企業用地を増やして誘致を進め、雇用の創出や人口増につなげたい」と話している。これについても、費用対効果を考えながら慎重に進めてもらいたい。

 上富田スポーツセンターを中心としたスポーツ合宿の誘致についても「さらに進めたい」と話している。町によると、昨年度はスポーツ合宿で町内に9600人が宿泊した。1泊1万円とすると9600万円の1次経済効果があり、波及効果はそれ以上という。毎年2月に開かれる紀州口熊野マラソンには、全国から5千人が参加しており、その経済効果も大きい。

 さらに、スポーツセンターを小型無人機のドローンを使った観光や防災の取り組みの拠点と考え、広域で進めたいという。

 一方で、スポーツセンターの維持管理には多額の費用が掛かっている。経済効果を実感し、町全体で「スポーツのまち」「防災の拠点」として売り出すためには、それに伴う収入を増やしていく必要がある。

 町長には、強いリーダーシップと同時に多様化する住民の要望に応える柔軟さが必要だ。謙虚な姿勢でまずは広く住民の意見を聞き、同時に自身の考えを広く伝えることが求められる。小出町政を継承しつつ、自身のカラーを打ち出せば道は開けるはずだ。 (H)


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