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東日本大震災から7年 足元からの備えを

 東日本大震災から7年。熊本地震からも、まもなく2年。あの大災害を契機に、防災対策は進んでいるだろうか。私たちももう一度足元を見つめ直し、「備える」意識を高めたい。

 まずは各自で身を守る「自助」である。例えば昨年12月、住友生命保険が実施した防災意識全国調査によると、家庭の防災対策の自己採点は100点満点で平均34・1点。この1年間の家庭の防災関連支出は平均3319円。前年より818円増えたが、一方で「0円」の世帯が6割近くあり、世帯間格差が広まっている。

 紀南でも似たような傾向。2016年の田辺市の市民意識調査では、7割が「家庭で十分な防災対策をしていない」と答えた。「自宅の耐震対策をしていない」人も7割を超えた。いざというとき、これでは救える命も救えない。

 まずは身近な防災対策から始めよう。例えば家具の固定。圧死や負傷を防ぐだけでなく、戸外への素早い避難にもつながる。まずは寝室に安全な空間をつくり、万一の時には脱出できるように玄関までの廊下には、物を置かないようにしよう。ガラスが割れることを想定して、食器棚や窓に飛散防止フィルムを貼っておけば、命が救える確率はグッと高まる。

 耐震改修には多額の費用がかかるが、補助金制度があるので、市や町の窓口に相談してみたい。

 家庭でのそうした取り組みと同時に「共助」を深めたい。田辺市の自主防災会組織率は95・53%。しかし、組織はできても、継続的に活動している団体は限られる。実際に「過去1年間、防災訓練に参加したことがない」人の割合は6割を超える。

 これではいざというとき、自主防災会が機能するか心もとない。日々の暮らしを守るために隣近所で協力すると考え、そこから防災の取り組みを進めればどうか。

 田辺市は新年度から、住民主体の津波避難計画作りを始める。地域の実情に合わせ、住民が避難路や避難場所を決め、地図に仕上げる。これにもまた住民同士の連携を深める狙いがある。

 幅広い年齢層が一緒に地図を作ったり、隣接する地域の人たちと一緒に作業したりすれば、新たな気付きを得られるはずだ。

 この手法は津波だけでなく、他の災害に対しても効果がある。計画を作れば完成ではなく、減災の手段を絶えず見直し、計画を改善する仕組みも求めたい。

 紀南の自治体は、それぞれ新年度予算に多彩な防災対策を盛り込んでいる。しかし、新しい対策だけに関心を向けるのではなく、いまある対策をいかに浸透させるかにも力を入れてもらいたい。

 私たちも地域の新聞として、どのように読者の防災意識を高め、行動につなげるかを問い続ける。地域に入って一緒に考える場をつくり、人のつながりを強めて防災力を高める役割を担いたい。

 自然災害は抑えることはできないが、被害は少なくできる。その備えをいまから始めよう。 (K)


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