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サイクリングロード 自転車で地域おこしを

 県は「サイクリング王国わかやま」と名付け、総延長約800キロの自転車道を整備している。自転車愛好者の誘致に取り組み、風を切って県内の魅力を肌で感じてもらう試みだ。地域の振興にもつながる事業であり、応援したい。

 自転車によって地域おこしを図ろうという試みは各地に芽生えている。有名なのは、愛媛県今治市と広島県尾道市を結ぶ「しまなみ海道」のルート。瀬戸内海に架かる橋上からの景色が楽しめる一大観光地になり、地元への経済効果も大きいという。

 自転車で巡る観光地の魅力では和歌山県も負けてはいない。豊富な観光スポットや多様な温泉に恵まれ、南紀ジオパーク指定の地質遺産や世界遺産の登録地も多い。山の澄んだ空気や風、潮騒の音、磯の香りなど、自転車ならではの魅力を全身で感じてもらえる。

 県は自転車道の整備に取り組んでいる。紀ノ川沿いや海岸沿い、山間部の道路を自転車道に指定し、ドライバーに注意を促すための青い実線や破線(ブルーライン)をほぼ引き終えた。

 しかし、紀ノ川の河川敷を中心としたルート以外は、大半が車が通る既存道路を活用しているのが現状。すぐ横を車が通過するような場所もある。初心者や子ども、高齢者らにもゆったり景色を見ながら安全に和歌山を楽しんでもらうためには専用道が不可欠だ。

 例えば千葉県銚子市―和歌山市約1400キロを走る「太平洋岸自転車道」の計画。1970年に施行された自転車道整備法によって整備が始まったが、完了したのは全体の半分程度。県内では白浜町の約10キロしかできていない。そこで県は5月31日、国土交通省に整備促進を要望し、国が中心となってルート設定の調整や走行環境整備の基本的な方針を取りまとめるよう求めた。

 昨年5月に施行された「自転車活用推進法」に基づき、国は今夏までに施策を定める推進計画を策定する予定。その案にも「太平洋岸自転車道等を対象として、先進的なサイクリング環境の整備を目指すモデルルートを設定」し「安全に走行できる環境整備」を盛り込んでいる。実現に期待したい。

 観光客を歓迎し、盛り上げていく施策も必要だ。すさみ町や白浜町の日置川流域であった昨秋のイベントには434人が参加して盛り上がった。今秋にはすさみ、白浜、串本、古座川の4町で実施する計画がある。県も、民間に呼び掛け「サイクリストに優しい宿」を認定し、休憩場所の提供、工具貸し出しなどをするコンビニや道の駅などを「サイクルステーション」に登録している。これらを手掛かりに自転車愛好者を温かくもてなし、呼び込んでいきたい。

 紀勢自動車道がすさみ町まで開通して3年。紀南に向かう観光客の利便性は向上している。これを生かして地域を元気にしよう。自転車を活用した事業は、その対策の一つになるはずだ。和歌山の魅力を存分に感じてもらえる工夫を重ねたい。 (K)


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