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田辺祭が開幕 素晴らしさを未来に

 450年以上の歴史を持つ闘鶏神社(田辺市東陽)の「田辺祭」が幕を開けた。毎年延べ4万人前後の来場者でにぎわい、祭りの2日間、まちは熱気に包まれる。

 見どころは多い。お囃子(はやし)を響かせながら巡行する笠鉾(かさほこ)や衣笠(きぬがさ)。夜、明かりをともしたそれらが旧会津橋に引きそろえられる幻想的な光景。早朝には「暁の祭典」と名付けた神事も営まれる。

 祭りは各地区の氏子らの支えで続いており、毎年400人前後の担い手が関わっている。しかし、少子高齢化の影響で、笠鉾の引き手やお囃子の奏者「笠の内」は慢性的な人手不足が続いている。

 しかしその分、担い手の祭りへの思いは熱い。地区外から参加している人たちは「自分たちが将来につなげていくんだ」といい、2年連続で南新町の笠鉾を引くアメリカ人男性は「昨年はすごく楽しかった。歴史の重みを感じ、今年も参加する」という。

 祭りはこうした人たちの支えで成り立っている。氏子らを中心にしつつ、今後は地区の内外からこうした担い手を集めることが、祭りを後世に残すために必要ではないだろうか。

 闘鶏神社は2016年10月、世界遺産に登録された。神社によると、登録後は熊野古道を歩く前後に訪れた人、御朱印巡りをする人、外国人らが目立つようになった。観光バスは大幅に増え、月100台入ることもあるという。

 旧市内への観光客も増加。市観光振興課によると、昨年は宿泊と日帰りで計103万6972人が訪れ、過去10年間で最多だった。闘鶏神社を核にしたまち並みの整備も進んでおり、今年4月には観光の拠点になる「街なかポケットパーク」もオープンした。

 市や闘鶏神社、各地区の保存会などは昨年度から、実行委員会をつくり、田辺祭の行事を撮影し、お囃子を録音する取り組みを進めている。

 これを追い風に観光客に田辺祭の認知度を高めたい。

 まずは内外の人に祭りの素晴らしさを知ってもらうことだ。参加する楽しみ、見物する楽しみ。単なる観光資源としてではなく、祭りそのものの素晴らしさをよりアピールする方策を考えるときである。伝統を重んじつつ、それぞれのまちごとに担い手の衣装一式を統一したり、整然とした運行に力を入れたりしてもらいたい。

 旅行会社や出版社に売り込んで見物客を呼び込み、担い手として祭りに参加できるツアーを組んではどうか。観客席や祭りの会場近くに広い駐車場を設けるなど、見物しやすい祭りにすることも必要だ。

 県外から祭りを見物した人からは「笠鉾の引きそろえが美しくて感動した。県外に出た人が祭りの日は戻って参加するという話を聞き、田辺のみんなが愛している祭りなんだなと感じた」と聞いた。

 同感だ。歴史と伝統に支えられ、魅力の詰まった祭りを貴重な観光資源に押し上げたい。(F)


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